「勉強しなさい」に疲れた親へ。
中学生が勉強しない時、本当はどうすればいい?
「勉強しなさい」
何度、言ったでしょうか。
平日も、部活から帰ったらスマホ。ご飯を食べてもスマホ。机に向かう気配がない。
『勉強しなさい』と言うたびに、嫌な顔をされる。言わなければ、ますますやらない。
「どうしたらいいんだろう」
そんなふうに思っている方に、書いています。
まず、それは「うちだけ」じゃないんです
長く教育の仕事をしてきて、いちばんよく聞くのが、この相談です。「うちの子だけが、こんなにダメなんじゃないか」。でも、実態は違います。
小6で「勉強が好き」だった子は55.6%。
中1になると、38.8%まで激減します。
わずか1年で、17ポイントの差。さらに同調査では、中学生で「家でほとんど勉強しない」と答えた割合が、成績下位層では12.6%にのぼります。
出典:ベネッセ教育総合研究所「小中学生の学びに関する実態調査」(2014年、対象:小4〜中2 5,409組)
つまり、中学生になって急に勉強しなくなる、というのは 多くの家庭で起こっている現象 です。「うちの子だけかも」という気持ちは、まずそっと手放してください。それは、お母さん・お父さんを追い詰める材料にしかなりません。
なぜ中学生は、勉強しなくなるのか
原因を、3つに整理します。「気合いが足りない」ではなく、もっと構造的な理由があります。
① 「やる理由」が、本人の中で見えなくなる
小学校までは「先生・親がやれと言うから」でやってきました。中学生になって自我が育つと、「なんで自分はやらなきゃいけないんだ?」と問い直し始めます。「将来のためだよ」と言われても、ピンとこない。
これは反抗ではなく、健全な自我の発達です。だからこそ「言ってやらせる」では、もう動きません。反抗期の中学生が勉強しない時の関わり方 もあわせて読むと、思春期の心理がもう少しはっきり見えてきます。
② 環境の誘惑が、急に増える
スマホ、SNS、ゲーム、友達とのLINE。「机に向かう30分」と「スマホで動画30分」、お子さんはどちらを選ぶでしょうか。当たり前ですが、後者です。大人だって同じ。意思の力で誘惑に勝つのは、思っているよりずっと難しいことです。
つまり、誘惑の多さは「意志の弱さ」ではなく 環境の問題。だから、対策も「気持ちを強くする」ではなく「環境を変える」が正解になります。
③ 「分からない」が、ちょっとずつ溜まっていく
中1のはじめに少し分からなかった内容が、中2のつまずきの種になる。気づいた時には「何が分からないのかも、分からない」状態に。机に向かっても、どこから始めればいいかわからない。
これは「やる気がない」のではなくて、「やり方がわからない」だけ。多くの場合、ここに本当の原因があります。平均点が取れない中学生の原因と、点数が動き出すステップ でも詳しく書いていますが、結局この「分からないが溜まる」を放置すると、やる気の問題に見えてしまうんです。
親がやってしまいがちな、3つの「逆効果」
これは、心理学の研究から、はっきりと「やらないほうがいい」と言えるものを3つ。たぶん、心当たりがあるはずです。
① 「勉強しなさい」と、何度も言う
これは、ほぼ100%、逆効果です。理由は、心理学者デシとライアンの「自己決定理論」で説明できます。
人が「自分でやろう」と思える条件は、3つあります。
自律性/有能感/関係性、です。
アメリカの心理学者 Edward L. Deci と Richard M. Ryan が体系化した「自己決定理論(Self-Determination Theory)」では、人間の内発的動機づけ(自分からやる気持ち)は、この3つの心理的欲求が満たされた時に育つとされています。
「勉強しなさい」と命令されるたびに、お子さんは 自律性(自分で決める感覚) を奪われます。すると、内発的動機づけが下がります。言うほど、自分から机に向かわなくなる。これは「気持ちの問題」ではなく、心理学的に予測可能な反応なんです。
参考:Deci, E. L., & Ryan, R. M. (1985, 2000)
「言わなければ、ますますやらない」と感じるかもしれません。でも、言っても結果として動いていないことも、たぶん多いはずです。言う頻度を半分に減らすだけで、半年後の関係性は別物になります。
② 他の子と比べる
「○○ちゃんは塾で頑張ってるって」「△△くんは内申点いいらしいよ」。
比較の言葉は、自己決定理論でいう 有能感(自分はできるという感覚) を削ります。「どうせ自分は…」という諦めだけが残り、やる気には絶対つながりません。
③ スマホを取り上げる、罰を与える
短期的には机に向かいます。でも、それは「逃避」の行動です。本気で集中しているわけではありません。
そして何より、親子の信頼関係 ―― つまり 関係性 が崩れていく。一度崩れた信頼を取り戻すのは、本当に大変です。やる気がない中学生に親が言ってはいけない7つの言葉 も、あわせて読むと言葉選びがクリアになります。
では、親は何をすればいい?5つの方法
ここからが本題です。今日から始められる、5つのことを書きます。
① 「やる気」を引き出そうとしない
これが、いちばん大事です。
「やる気」は、行動の結果として生まれるもの。やる気が先にあって行動するのではなく、行動するからやる気が出る。順番が逆なんです。
だから、「やる気を出させよう」とする発想を、まず手放してください。代わりに、「環境」と「仕組み」を整えます。
② 小さい一歩を、毎日続けられる仕組みを作る
10分でいいんです。毎日、同じ時間に机に向かう。これを続けると、お子さんは確実に変わっていきます。
新しい行動が「習慣化」するまで、
平均66日。短い人で18日、長い人で250日。
ロンドン大学(UCL)の研究チームが、96人を対象に新しい行動を毎日続けてもらった結果、習慣として定着するまでに平均66日かかりました。よく言われる「21日で習慣化」は、実は科学的根拠が弱いことが分かっています。
大事なのは、「1週間続かなかった」「3週間でやめた」と落ち込まないこと。多くの場合、66日続けて、ようやく当たり前になるのが習慣です。お子さんが2〜3週間で続かないのは、ごく自然なこと。仕組みで持たせる必要があります。
出典:Lally, P. et al. (2009), University College London, European Journal of Social Psychology
だから「やる気が出たらやる」では、永遠に習慣になりません。
「夕飯のあと、19時に5分だけ机に座る」とか、条件付きで自動発火するルールのほうが、続きます。中学生の勉強が続かない3つの理由 でも、続く子と続かない子の決定的な違いを書いていますが、いちばんは「仕組みがあるかどうか」です。
③ 「分からない」をすぐに聞ける環境を用意する
机に向かっても、わからない問題で詰まると、すぐスマホに逃げる。これは大人でも同じです。
分からないときに「すぐ聞ける」「すぐ解決する」環境があるかどうか。これが、続くか続かないかの分かれ目です。
家庭教師、塾、オンライン質問サービス、いろいろあります。「すぐ聞ける」をどう整えるか、考えてみてください。自習ができない中学生のための、家でも続く環境のつくり方 もあわせてどうぞ。
④ 進み具合を、可視化する
「今日、何をやったのか」を、親も子も把握できる状態に。ノートを毎日チェックするのではなく、記録が「自然に」残る仕組みがいいです。
通信教材や学習アプリには、進捗を可視化できるものもあります。「やった/やらなかった」が見えるだけで、子どもの行動は変わります。これは自己決定理論でいう「有能感」が育つ仕組みでもあります。「自分、ちょっとずつ進んでるかも」という実感が、いちばんの燃料になります。
⑤ 1人で頑張らせない
家庭学習がうまくいかない最大の理由は、「1人で頑張ることになる」から。これは、自己決定理論の 関係性(誰かと繋がっている感覚) が満たされていない状態でもあります。
横に誰かがいて、進み具合を見ていて、声をかけてくれる。
それだけで、続くようになります。
親が毎日横についていられればいちばんいいですが、それは現実的に難しい。だから、その役を担ってくれる外部の力を、賢く使うのがおすすめです。「うちの子が勉強しない」と一人で抱え込まないでください。
自分たちだけで難しい時の、4つの選択肢
ここまでの「5つの方法」を、家庭だけで実現するのは、正直なところ大変です。親も仕事があるし、毎日横についていられない。
そんな時、外部の力を借りるのは、悪いことじゃありません。むしろ、お子さんの将来を本気で考えるなら、合理的な選択です。
選択肢を、ざっくり整理します。
| 選択肢 | 月額目安 | 強み | 弱み |
|---|---|---|---|
| 通信教材 (進研ゼミ等) |
6,000円〜 | 安い、9教科対応 | 「自分でやる」前提。続かない子は教材がたまる |
| 映像授業 (スタディサプリ等) |
2,000円〜 | 圧倒的に安い、有名講師の授業 | 自己管理できる子前提、質問はできない |
| 通塾型個別塾 | 15,000円〜 | 直接指導、人と顔を合わせる安心感 | 通塾が必要、送迎の負担、料金が高い |
| オンライン個別指導 | 11,000円〜 | 自宅完結、個別指導、続く仕組み | サービスによって質に差がある |
お子さんが「自分でやれる子」なら、通信教材か映像授業で十分です。
でも、「家で机に向かわない子」「分からないところで止まる子」には、もう少し仕組みのある環境が必要です。
「続かない」を、仕組みで解決する。
スタディマックスは、「自己決定理論」と「習慣化研究」をベースに設計したオンライン個別指導塾です。
・関係性:毎日決まった時間に Google Meet で講師が一緒に
・有能感:分からないを24時間質問できて、可視化される
・自律性:強制ではなく「自分で今日の目標を決める」設計
家にいるのに、サボれない。そして、親に毎日メールで報告が届くから、「勉強したの?」と聞かなくて済みます。
月額¥11,000〜。
最後に:焦らず、でも諦めないで
中学生の3年間は、長いようで短い。
今日「勉強しない」状態でも、3ヶ月後には「机に向かう習慣がついている」可能性は、ちゃんとあります。
ただし、習慣化研究が示すように、66日はかかります。途中で焦らないことが、いちばん大事です。
「やる気」を待たないでください。
「仕組み」を整えてあげるのが、親の役目です。
そして、それを1人で抱え込まないで。
私たちのような塾も、家庭教師も、頼れる先生も、いっぱいいます。
お子さんに合う方法を、一緒に見つけていきましょう。